税務署を辞めた理由
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最初のきっかけは「密告」だった
私が税務署を辞めたのは2019年7月。もう6年が経ちました。1993年4月に税務署に入り26年間、気づけば随分と長い時間を過ごしたことになります。今思い返すと「よく続いたな」と思う反面、あのとき辞める決断をした自分を誇りに思います。
最初に「辞めたい」と思ったのは20代後半のこと。
あるとき「税務職員が脱税指南をしている」という全く根拠のない密告が入り、私は国税局の綱紀観察の対象となりました。もちろん、やましいことは一切なく、処分もありませんでした。
しかし、この出来事が私の心に深く突き刺さり、「税務職員って嫌だな」と思うきっかけになりました。自分の行動に一点の曇りもないのに、身分や立場だけで疑われる。そういう環境に、少しずつ違和感を覚えるようになったのです。
ちょうどその頃、税理士試験の受験資格を得たこともあり、「資格を取って辞めてやろう」と思い立ちました。とはいえ、仕事を抱え、家庭を持ちながらの受験は容易ではなく、私の頭脳では太刀打ちできませんでした。そこで方針を切り替え、審理系の仕事を選び、将来の免除制度を見据えるようになりました。
「安定」よりも「自分らしく生きること」
それから23年。結果的には職員としてのキャリアを積み上げたことで、税理士試験の免除というファストパスを得て、税理士として独立する道を選びました。振り返ると、密告は単なる出来事にすぎず、本当の理由は「自分らしく生きたい」という思いにあったのだと思います。
税務署の仕事は安定しています。収入も安定しており、生活基盤に困ることはまずありません。多くの人が望む「安定と地位」がそこにあります。辞めるというのは、それらを手放すことを意味しますから、悩んで当然です。
しかし私は収入のことをほとんど気にしませんでした。なぜなら、私にとって何より大切なのは「自分の人生を納得して生きられるかどうか」だったからです。
確かに、開業から数年間は収入的に苦しかったのは事実です。でもその苦しさ以上に、「自分で道を選んで生きている」という充実感が勝っていました。そして開業7年目の今、スタッフに給料を支払い、自分も安定した収入を得て、ようやく「自分らしい生き方」ができていると胸を張れます。
一歩を踏み出す勇気が未来を変える
私は税務署を辞めたことに一切の後悔はありません。むしろ、あのときの決断がなければ今の自分はいないと断言できます。
結局のところ「勇気を持って一歩を踏み出せるかどうか」だということです。リスクを承知で動かなければ、現状は何も変わりません。言い換えれば、その一歩を踏み出せば、必ず何かが変わります。
もちろん、一人で乗り越えたわけではありません。家族の理解や仲間の支え、スタッフの存在があってこそ今があります。ただ、その最初の一歩を踏み出すのは自分自身です。他の誰でもありません。
「このまま定年まで税務職員として働き続け、後悔はないだろうか?」
「自分らしい人生とは何なのか?」
この問いに真正面から向き合ったとき、答えが「NO」なら、一歩を踏み出すべきです。
辞めることが正解とは限りません。ただ、悩んでいる時点で、心の中に「もっと自分らしく生きたい」という思いが芽生えているはずです。どうかその声を大切にしてください。勇気を持って踏み出した一歩は、必ずあなたの未来を豊かにするはずです。
【編集後記】
私の体験が一助になれば幸いです。