子ども・子育て支援金制度を税理士が整理する
目次
「独身税」と呼ばれる理由と、制度の正体
最近、「独身税が始まるらしい」「独身は罰金を取られるのか」といった声を、SNSやクライアントとの会話で耳にする機会が増えました。
しかし結論から言うと、日本に「独身税」という税金は存在しません。
ブルガリアなど一部の国では過去において独身税があったようですが、最近SNS界隈を賑やかしている「独身税」と呼ばれるものは全くの別物です。
話題の正体は、2026年4月から始まる「子ども・子育て支援金制度」です。これは少子化対策の財源を確保するため、健康保険料に上乗せして徴収される仕組みで、法律上の位置づけは「税」ではなく社会保険料(拠出金)です。
では、なぜこれが「独身税」と呼ばれてしまうのか。
理由はシンプルで、子育て世帯への給付・支援が主な使途である一方、独身者や子どもがいない世帯も負担する構造になっているからです。
形式は社会保険料でも、受益と負担が一致しないケースが多く、体感としては「目的税」に近い。その違和感が、この強い言葉を生んでいると言えるでしょう。
事業主にも影響する「見えにくいコスト増」
この制度、個人だけの話ではありません。
会社員については労使折半が原則となるため、事業主負担が確実に発生します。
つまり、
- 従業員:社会保険料が増え、手取りが減る
- 会社:法定福利費が増え、総額人件費が上がる
という、双方にじわっと効く仕組みです。
事業主負担分は、もちろん損金算入可能で、勘定科目は「法定福利費」。
ただし、給与を上げたわけでもないのに人件費だけが増えるため、特に中小企業では「気づいたら利益が削られている」という事態も起こり得ます。
一方、個人事業主や国民健康保険加入者には労使折半はなく、全額自己負担。
この点でも、「雇われ」と「事業主」で受け止め方に温度差が出る制度だと感じます。
いつから天引き? 実務で必ず聞かれるポイント
制度の開始は2026年4月。
社会保険のルールに従い、2026年4月分の保険料から発生します。
給与からの天引き時期は会社の徴収方法によって異なりますが、
- 当月徴収の会社:2026年4月支給給与から
- 翌月徴収の会社:2026年5月支給給与から
となるケースが一般的です。
おそらく2026年春以降、
「給料明細の社会保険料が増えているのはなぜ?」
という質問が、事業主・従業員双方から増えるでしょう。
この制度は、名称や金額の問題以上に、“説明できるかどうか”が重要です。
税ではないが、増税と同じように感じられる――そのギャップをどう埋めるか。
今後は、制度そのものだけでなく、納得感のある説明が求められる時代になっていくと感じています。
やっぱり社会保険料って高いよね
【編集後記】
諏訪湖が全面結氷したというニュースがありました。ちょっとだけ御神渡りに期待しています。