大黒屋に2億円超の追徴課税

大黒屋に2億円超の追徴課税

なかなか朝一で面白い記事を目にしました。しかも記事を読み進めるとかなり攻めた課税をしたなという感じです。

簡単に書くと訪日客を装い消費税が課税されない輸出取引として販売し、実のところ国内で転売するスキーム。

ここまでは、大なり小なり想定できるスキームだと思います。ただ現実問題として、このような事例を国税当局が補足できるか?という問題はありますが。。。

さて、私が攻めた課税をした!という感想をもったのは当該事案で「重加算税」を賦課した事です。私の経験上「えっ!まじで」という感じです。

この件についてはニュースの記事でも「従業員個人の不正が原因であっても、税務上は企業がペナルティーを受けることがある。大手業者に対する高額な重加算税の追徴は異例とみられる。」とあります。

なぜ異例なのか?

重加算税賦課の要件は実に厳密に定められています。

第65条第1項の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書又は第23条第3項に規定する更正請求書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

一般的には悪いことをした人は重加算税という認識ですが、厳密には「事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出した場合」です。今回はこれには間違いなく該当します。

ですが、実は大事な部分が見落とされがちで「納税者が」という要件もあります。

今回の事案は法人が納税者なので従業員が行った行為が重加算税の課税要件の1つである納税者の行った行為といえるか否かです。

一部の従業員が法人の監督が行き届かない場所で不正行為を行った場合に重加算税が賦課できるかという問題はずっとあります。

役員ならどうなのか?使用人ではあるが、相当の責任がある役職者ならどうなのか?

法人で定められているチェックが適切にされていたのか?等々総合勘案する必要がある事案です。

記事では詳細が書かれていませんが、元税務職員としては大黒屋に郵送されたであろう重加算税の理由付記の文章を読んでみたいです。

【編集後記】

GWに合い間の3日間。通常通り仕事しています。

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