令和の税務調査、いよいよオンライン化へ
目次
ついに税務調査もオンライン時代に
今年9月以降、国税庁がオンラインによる税務調査を本格的にスタートさせるとの報道がありました。
具体的には、以下のようなデジタル対応が可能となります。
① インターネットメールでの連絡
② WEB会議システムによる面談
③ オンラインストレージサービスでの帳簿・書類データのやりとり
これまでは、税務署とのやりとりと言えば電話か郵送。FAXやメールすら使用できず、正直なところ「昭和のまま時間が止まっているのか」と感じることもありました。
その超アナログな世界が、ようやく令和仕様に変わりつつあるのです。
たとえば③の「オンラインストレージによる資料提出」が実現すれば、書類のコピー・郵送といった手間がなくなり、調査対応のスピードが一気に向上します。
納税者にとって、税務調査は精神的にも大きなストレス。その負担が少しでも軽くなるなら歓迎すべき流れです。
税務調査の現場はどう変わる?
このようなオンライン化の背景には、国税庁が導入を進めている「ガバメントソリューションサービス(GSS)」の存在があります。政府全体での業務共通化・効率化を目指す仕組みの一環として、税務調査もデジタル化の波に乗ることとなりました。
しかし、果たして帳簿やデータのやりとりだけで、実態把握が十分にできるのか。
これは現場経験者として、少々懸念を抱かざるを得ません。
帳簿から数字の整合性を確認することはできます。しかし、その企業の「空気感」や「経営者の人となり」、従業員の動きなど、現地に足を運ばなければ見えてこない情報があるのも事実です。
帳簿上は問題がなさそうに見えても、現場に入って初めて気づく違和感──それこそが、調査官の「勘」や「経験値」で掴むものです。
税務調査の本質とは何か
私自身、かつて税務当局に在籍していた頃、こう語って後輩を指導していました。
「税務調査は現場でするもの。総勘定元帳や請求書を借りても、数字の誤りは見つかっても、脱税は見つけられない。」
今は税理士という立場になりましたが、当時の考えが古いとは一概には思えません。
調査の効率化は歓迎すべきですが、形式的な帳簿の整合性ばかりを重視して、企業の「実態」が見えなくなってしまうようでは本末転倒です。
今後、税務当局の調査担当者がどのようにこの「現場感」と「デジタル化」を両立させていくのか。
元調査官として、そして今は税理士として、その対応を注視していきたいと思います。
【編集後記】
昨日、税理士会の例会に参加してきました。
松本税務署や木曽税務署の幹部の方々も出席されていたのですが、かつてお世話になった先輩や、同期、後輩たちがその幹部として活躍している姿を見て、自分も歳を重ねたのだなとしみじみ感じました。