【フリーレントを巡る税務】
目次
フリーレントとは何か?
「フリーレント」とは、賃貸借契約において一定期間、家賃が無料となる契約条件のことです。主に事務所や店舗など事業用不動産の賃貸借契約で使われることが多く、テナント誘致の手段として広く用いられています。
たとえば「契約開始から2ヶ月間は賃料ゼロ」といった内容が該当します。実務上はよくある条件ですが、税務の世界ではこれまで明確な取り扱いがありませんでした。
会計処理には2つの方法がある
私が関東信越国税局の調査審理課に在籍していたころ(もう15年も前になります)、東京・大阪・名古屋・関東信越の4局合同で行われた検討会のテーマの一つが、この「フリーレント」でした。議論の詳細は全く覚えていないのですが、私がフリーレントという言葉を耳にしたのはこの時が初めてでした。
当時は明確な基準がなく、フリーレント期間をどう損金処理すべきか、法人税上の判断が分かれることもしばしば。会計上は、
① 賃料の支払日の属する年度に損金算入する方法
② 総額を賃借期間で按分して損金処理する方法
の2つがあり実務では①の方法が主流となっています。
令和7年、ついに明確な税務通達が!
2025年(令和7年)4月、国税庁は法人税基本通達12の5-3-2を新設。これにより、「フリーレントを含む契約で、課税上の弊害がない通常の取引」であれば、契約全体を通して支払われるべき金額を各事業年度に合理的に按分し、損金算入できることが明記されました。
ただし、これは「損金経理している」ことが前提条件。つまり、会計上フリーレント期間分の費用を計上していない場合は、従来どおり支払日の属する年度での損金算入も可能です。
私の顧問先の多くはフリーレントに全く関係ないので実務上の影響は軽微。ただ、税務の現場において15年越しにようやく明確な取り扱いが示された、という点では非常に感慨深いものがあります。
【編集後記】
8月に入り、まだまだ暑い日が続きそうです。稲作の生育が不安です。