扶養親族とは?意外と間違える扶養親族について解説します
前回は「年末調整」の基礎編について書きました。そして今回は「扶養親族」について解説します。
実は、税務署の仕事の1つに「扶養是正」というものがあります。
これは、扶養控除の対象にならない人を扶養控除の対象としている場合、税額計算が間違っているため企業等に是正を求めるというものです。つまり、年末調整の再計算を行うということです。
扶養控除額38万円ですので、単純計算で税率が10%の人は38,000円の追徴課税、税率が20%の人は76,000円になります。
これが3年分間違っていると追加の税負担がそれぞれ114,000円、228,000円となります。さらに扶養手当を支給している企業は従業員に扶養手当の返還も求めます。扶養親族の適否を間違えると後々税負担が大きくなります。
しかし、このようなケースが毎年後を絶たないのです。
そこで、今回は扶養親族について解説しながら、誤りやすい点について解説していきたいと思います。
目次
扶養親族とは
扶養親族とは「所得者と生計を一にする親族で合計所得金額が38万円以下の人」をいいます。
給与所得だけの場合は、年間の給与収入が103万円以下であれば、合計所得金額が38万円以下になります。
公的年金等に係る雑所得金額だけの場合は、年間の公的年金等の収入が158万円以下(年齢が65歳未満の人は108万円)であれば合計所得金額が38万円以下になります。
ちなみに「親族」とは、6親等内の血族と3親等内の姻族をいいます。下図のとおりです。
誤りが多い事例
1 家族の収入を把握していない。
配偶者やお子さんの収入を把握していないため給与収入が103万円を超えているのに扶養親族にしてしまったケース。
具体例としては
「大学生になったお子さんがアルバイトを始めました。お父さんに収入を聞かれたので曖昧に回答していたら、実は103万円超えていた。」
「奥さんは近所にパートに行っているが、ご主人に本当の収入を伝えていなくて実は103万円を超えていた。」
これは家族間コミュニケーションの問題なので、しっかり確認すれば防げる誤りです。
2 所得金額38万円の解釈を誤っている。
給与所得のだけ場合は収入金額が103万円以下であれば合計所得金が38万円以下になります。
この103万円がひとり歩きし、ほかの所得、事業所得などでも103万円以下だから大丈夫!と誤解している人がいます。
事業所得は「収入ー経費=所得」です。収入がなくても、事業所得、配当所得、譲渡所得、一時所得などある人は収入が103万円以下でも所得金額が38万円を超える場合がありますので注意が必要です。
3 単発で収入があった。
その年だけ臨時の収入があったりした場合、所得金額が38万円超えていても、つい毎年扶養親族にしていたから外すの失念していたなど。
まとめ
サラリーマンだけはしっかりと把握するんだな!という声が聞こえてきそうですが、実際の話です。
はじめにも書きましたが、あとで負担するには厳しい金額になる場合が多いです。
これから、年末調整の季節です。ご家族の収入は、会社の経理担当では把握できません。従業員本人がしっかりとご家族の収入を把握して誤りのないようにしましょう。
【編集後記】
今朝の気温が遂に0度になりました(‘◇’)ゞ