台風で被害を受けた場合にできる税務的対応

台風15号に続き台風19号でも残念ながら大きな被害が発生してしまいました。
私の住む長野県でも千曲川が決壊するという大きな災害が発生してしまいました。新幹線の車両が水没しているシーンは唖然となりました。
復旧作業はこれからになるかと思いますが、税務関係で被害を受けられた方が対応できる手続きをまとめてみました。
なお、詳細については後日国税庁のHPにUPされますので、そちらを確認していただければと思います。
目次
個人の方
- 災害により住宅や家財などに損害を受けた方は、確定申告において「所得税法」に定める雑損控除の方法、「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法で所得税及び復興特別所得税の軽減又は免除を受けられる場合があります。
- 災害により事業用資産や棚卸資産などに被害を受けた個人事業者の方は、その損失の金額を事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することができます(保険金などにより補てんされる部分の金額は、必要経費に算入されません。)。
- 災害により申告・納税等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限が延長されます。
- 災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、納税の猶予を受けることができます。
- り災証明書の添付又は提示
「り災証明書」は、災害により家屋に被害を受けた場合、その被害を受けた方が市区町村に被害の状況を申告した後、その市区町村がその状況を確認した上で発行されるものです。
この証明書には、例えば、り災原因や、全壊や半壊など家屋についての被害状況等が表示されていることから、確定申告で「所得税及び復興特別所得税の全部又は一部の軽減」を受けられる場合の被害割合を判定する際の目安となるものです。
税務署では、申告書等を提出する際に「り災証明書」を添付していただくか、又は提示を求められます。 - 災害により受領する災害義援金等
災害により受領する災害義援金等のうち次のものについては、所得税及び復興特別所得税の課税の対象とはなりません。
・被災者生活再建支援法による被災者生活再建築支援金など、支給する法令の規定上非課税とされているもの。
・心身又は資産に加えられた損害について支払を受ける義援金や見舞金で、その受贈者の社会的地位、贈与者との関係などに照らし社会通念上相当と認められるもの。
法人の方
- 災害により滅失・損壊した資産等
法人の有する商品・店舗・事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときは、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。
① 商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産のなどの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失
② 損壊した資産の取壊し又は除去のための費用
③ 土砂その他の障害物の除去のための費用 - 資産の評価
法人の有する棚卸資産、固定資産又は一定の繰延資産につきによる著しい損傷が生じたことのにより、その時価が帳簿価額を下回ることとなった場合には、帳簿価額と時価との差額につき損金経理をすることにより、損金の額に算入されます。 - 復旧のために支出する費用
法人が、災害により被害を受けた固定資産(評価損を計上したものを除く)について支出する次にような費用に係る資本的支出と修繕費と区分については次のとおりです。
① 被災資産についてその現状を回復する費用は、修繕費となります。
② 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補修工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費としているときは、この処理が認められます。
③ 被災資産について支出する費用(①、②を除く)の額のうち、資本的支出が修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。
国税庁HP
国税庁のHPで参考となるページを貼っておきます。詳細についてはこちらで確認してください。
- 暮らしの税情報「災害等にあったとき」
- タックスアンサー「災害を受けたら」
- 災害による申告、納付等の期限延長申請
- 災害を受けた場合の納税の緩和制度について
- 災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請手続
- 災害に関する所得税の取扱い(個人の方)
- 災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ
- 義援金に関する税務上の取扱いFAQ
【編集後記】
今回の災害において被災された多くの皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、被災された方々の1日も早い復興を心から願っております。