KSK2システムで本当に税務調査は変わるのか?

国税当局は令和8年9月24日に次世代システムであるKSK2を導入する予定である。最近、税理士界隈で騒がれているのが、「KSK2によって税務調査が変わる!!」という話である。

確かに変わる。
でも、変わらない部分もある。

税務署OBである私が感じる「変わる部分」と「変わらない部分」を、3つの視点で勝手に書いてみたい。

KSK2で変わること

変わる部分は、これまでバラバラだった各税目のデータが統合され、より効率的な調査選定が行われる点である。

従来であれば、法人税なら法人税、所得税なら所得税というように、それぞれの税目ごとに調査選定が行われていた。もちろん税目横断的な確認は行われていたが、あくまで補助的な位置付けだった。

しかしKSK2では、税目横断的にデータ分析を行い、さらにAIを活用して調査対象を選定すると言われている。

どのような形でAIを活用するのか詳細は分からないが、数字の整合性や業種比較など、従来より高度な分析が可能になるのだろう。

一方で、売上も経費も一定割合で落としていて、係数的には違和感が出ない法人などを、AIがどのように判断するのかは興味深いところである。

それでも変わらないこと

一方で、変わらない部分もある。

それは、実際に税務調査を行うのはAIではなく、“調査官という人間”であるという点だ。

古い時代の人間の偏った考えかもしれないが、人が経理をする以上、単純な入力ミスや処理誤りは完全には防げない。もちろん少ない方が良いのは間違いないが、本来税務調査で重点的に確認すべきなのは、悪質な脱税であると思っている。

しかし最近の税務調査を見ていると、形式的な確認が増え、肝心の「実態を見る力」が弱くなっているように感じる。

私の偏見かもしれないが、最近の調査担当者は「上司にどう復命するか」を強く意識しているように見える。

もちろん私も現役時代、上司を無視していたわけではない。だが、実際に現場で帳簿を見るのも、社長と向き合うのも調査担当者自身である。

現場でしか感じ取れない空気感や違和感がある。そこを徹底的に追求する。結果として何も出なかったこともあるが、その積み重ねが経験値になる。

今の調査担当者は、そういった経験を積む機会が減っているように感じる。

結局、最後は「人」

色々書いたが、結論としては、税務調査は結局のところ「調査担当者の能力次第」なのだと思う。

KSK2によって選定精度は上がるだろうし、調査の効率化も進むはずである。

しかし、どれだけ優秀なシステムを導入しても、数字の裏側にある違和感を感じ取り、それを追及できるのは人間しかいない。

AIの時代になっても、最後に差が出るのは「現場を見る力」なのかもしれない。

【編集後記】

今日は税理士会の例会です。この暑いなか駐車場係をしなきゃと思うと朝から憂鬱です。

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