AIが調査担当者の能力低下の要因

調査選定にAIを活用!!

国税庁が公表した「所得税及び消費税調査等の状況」に「選定にAIを活用」という文言がありました。私の記憶に間違いがなければ、私が在職していた当時からKSKシステムである程度調査選定をしていたはずです。当時の選定とAI選定では内容が根本的に違うとは思うのですが、税務職員が選定しないという点では同じです。

税務職員の調査能力の低下の要因

先日のマジカチ沖縄でとある国税OBの方と「税務職員の調査能力の低下」というテーマで議論を交わしました。

その中で「調査選定の方法が今と昔では違う」という話になりました。確かに、その方と私は平成4年5年の採用でキャリアも同じ位です。当時はKSKシステムやAIなどない時代ですので、申告書や決算書を1件1件精査しながら、自分なりに調査選定をして(事務処理手順では統括官が選定するんですけどね)調査をしていました。

調査すべきポイントを絞り、どのような誤りが想定されるのか自分なりに考え、そしてその考えの答え合わせをしに現場に行くような感じでした。

一方、現在の調査選定は上述したようにKSKシステムやAIによる選定で行われているようです。AIがこの納税者の、この数字が同業他社の平均的な数値と乖離しているからという理由で選定されるのだと思います。

税務調査の場面において、調査担当者は平均的な数値と乖離している項目にフォーカスして調査をしていく訳ですが、請求書、領収証等を確認して数字に間違いがなければOKとなるケースがほとんどです。

本質が見抜けない

決算書をベースに申告書を提出しているのだから、平均的な数値が乖離している部分の証憑類を確認しても、そこは当然の如く正しいだけです。

もう1歩先へ

なぜ、平均的な数値を乖離しているのか?という本質まで確認する調査官は少なくなりました。

税務調査の本質というか、面白味はそこにあるのだと思うですが。。。

業種的、規模感、社長の性格、取引先との関係性etc。ありとあらゆることを想定して、その数字は本当に正しいのか?他の取引と比べておかしなところはないのか?

調査経験の乏しい統括官が増えた

税理士になって、それほど多くの税務調査に立ち会ったわけではありませんが、調査担当者の税務調査能力の低下とともに、統括官の調査能力&管理能力の低さが気になります。

私が退職する直前においても統括官予備軍に調査経験者の乏しい職員が多く、当局も危機感を抱き対策をしておりました。

若手職員に対する指示事項とか、調査の展開とか、最後の交渉能力とか諸々ね。

納税者や税理士側にとっては調査能力の低下は+なのでしょうが、是認が嫌だからといって重箱の隅を楊枝でほじくるような指摘事項は勘弁してほしいものです。

【編集後記】

今週の課題は、体調を万全に戻す。どうも沖縄に行ってから体調がイマイチなんですよね。

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