1つの「腐ったミカン」
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1つの「腐ったミカン」
先日、税務署との協議会がありました。
ところが、当日になって総務課長が急遽欠席。
「ん? 何かあったのかな?」
税務署OBの私としては、こういうとき、つい勘ぐってしまいます。もちろん、体調不良などの可能性もあります。でも、税務署という組織を26年間見てきた人間としては、「これは何かあるな」と感じるわけです。
そして、予想通りというか、想像以上というか、後日飛び込んできたニュースに驚きました。
竜ケ崎税務署の25歳の職員が、競艇の払戻金など約3億3,400万円の所得を申告せず、約1億3,500万円を脱税した疑いで刑事告発され、懲戒免職となったというものです。
さらに驚くのは、それだけではありません。
税務調査で知り合った高齢女性から、「家族に仕送りをしている」などと嘘をついて約1億5,000万円を受け取り、その一部については「修正申告書に誤りがあり、新たに納める税金が発生する」と嘘の説明をして、現金をだまし取った疑いまであるとのこと。
そして、不正に得た金の多くを競艇につぎ込み、舟券の購入額は8億円を超えていたと報じられています。
正直、言葉が出ません。
56,018人の中の37人
国税庁の令和7年度末の定員は56,018人。
一方、令和7年に懲戒処分を受けた国税庁職員は37人でした。単純に割合を計算すると約0.066%。おおよそ1,500人に1人という数字です。
もちろん、「0.06%だから問題ない」という話ではありません。
税務職員には、他の仕事以上に高い倫理観が求められます。
なぜなら、税務職員は国民の所得や財産、家族関係、金融資産など、普通なら他人に知られたくない情報を扱う仕事だからです。
だからこそ、国税では毎年のように服務規律や非行防止について研修が行われています。
それでも、不祥事はなくなりません。
今回の事件は、単なる「職員の脱税」というレベルを超えています。
税務調査で知り得た情報や立場を利用して、高齢女性から現金をだまし取ったとされている。
ここが本当に重い。
税務職員に対する信頼そのものを傷つける行為だからです。
現場の職員が一番つらい
私は今回の事件を知って、真っ先に思ったのが「現場の職員、大変だろうな」ということでした。
税務署では、真面目に仕事をしている職員が圧倒的に多い。
納税者と真剣に向き合い、厳しいことを言わなければならない場面では嫌われ役になり、それでも適正な課税・徴収のために仕事をしています。
ところが、一人の職員が大きな不祥事を起こすと、「税務署って大丈夫なの?」という目で見られてしまう。
これが組織というものなのでしょう。
昔から「腐ったミカン」という言葉があります。
一つの腐ったミカンが、周りのミカンまで腐らせてしまう。
今回の事件も、まさにそんな怖さがあります。
56,018人のうち37人。
割合だけを見れば、ほんのわずかです。
でも、その「わずか1人」の行為によって、残りの何万人もの職員が築いてきた信頼まで傷ついてしまう。
だからこそ、不正防止の研修は必要です。
ただ、研修だけで不祥事を完全になくすことはできないでしょう。
最終的には、一人ひとりが「自分の行動が組織全体の信用を背負っている」という自覚を持つしかないのだと思います。
税務署OBとして、今回の事件は本当に残念です。
そして何より、何も悪くない現場の職員たちが、これから納税者と向き合うときに余計な苦労を背負うことにならないことを願っています。
一つの「腐ったミカン」のために、真面目に働く何万人もの職員まで疑いの目で見られる。
これほどやりきれないことはありません。
【編集後記】
去年は10日間の夏休みでしたが、今年は無理っぽいです😭