電子帳簿保存法 スキャナ保存を考える
目次
電子帳簿保存法 スキャナ保存を考える
保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除きます。)の全部又は一部について、その国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により、電磁的記録に記録する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもって国税関係書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法43)。
いつも思うけど、法律的な文章って難しいです。分かり易く砕けた感じで書くと誤解する人も出てくるしね。
ではでは、分かりやすく解説していきましょう!!
国税関係書類とは①取引相手から受け取った書類②自分が作成した取引相手に渡した書類の写し(契約書、見積書、注文書、納品書、検収書、請求書、領収証などなど)のことをいいます。
財務省令で定める装置とは、いわゆる「スキャナ」や「デジタルカメラ」のことを指します。
一定の要件の下とは①入力機関の制限②一定水準以上の解像度及びカラー画像による読み取り③タイムスタンプの付与④読取情報の保存⑤ヴァージョン管理⑤入力者等の情報の確認⑥帳簿との相互関連性の確保⑦見読可能装置の備付け等⑧電子計算機処理システムの概要書の備付け⑨検索機能の確保
要件多いですね。。。詳しくは次の図で確認してください。
これ、税理士でも難しいというか、税務の世界を離れているような気がするけど一般の納税者にしてみれば「税理士、何とか対応してくれ」という話なんだと思います。
会計ソフトを活用するのがマストです。
世の中には大小問わず様々な会計ソフトがありますが、その多くは電子帳簿保存法に対応すべくソフト開発を行っていますので、電子帳簿保存法を活用するのであれば会計ソフトを活用するのがマストです。
電子帳簿保存法を事業者が単独で行うとなれば、正直、税理士には手が負えないです。
例えば、既存のスキャナを活用してハードに保存することを考えてみましょう。ここで大きな問題になるのは前述した要件のうち③タイムスタンプの付与と⑨検索機能の確保ではないでしょうか。
タイムスタンプの付与とは?
タイムスタンプとは「電子データがある時点に存在していたこと及び当該電子データがその時点から改ざんされていないことを証明する情報」がタイムスタンプというものらしく、タイムスタンプを利用するには、インターネット環境の整備、時刻認証局(TSA)との契約、タイムスタンプの付与が可能なシステムの導入が必要なようです。また、タイムスタンプを利用には環境整備にかかる費用の他、タイムスタンプに対応するシステム導入と時刻認証局(TSA)との契約に初期費用とランニングコストがかかります。
なんか、記事を書いているだけで書類の電子保存をするための費用と作業が増えるのではと感じてしまいます。
ただ、現在は「入力事項を規則第2条第6項第1号イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合には、その確認をもってタイムスタンプの付与に代えることができる。」としてタイムスタンプを省略する方法もありますが、これは会計ソフトを利用している場合に限り省略できるもの(当然、会計ソフトによっては対応していないものあるし、ちゃんと手続きを遵守する必要はある)だと思います。
検索機能の確保とは
スキャナ保存は電子で保存するば良いだけではなく、👆のような検索機能を持たせる必要があります。レシートをスキャナで保存して、1枚1枚手作業で取引年月日、取引金額、取引先を登録しないと検索できないということになります。これ実は会計ソフト利用しないと事務量はとてつもなく増加します。正直、会計ソフトを利用しないと無理だと思います。
ということで、当事務所の結論は「電子帳簿保存法を採用するなら、会計ソフトを利用しよう」ということです。
【編集後記】
ここにきて、コロナの感染者が増加しています。皆さんも感染予防に努めましょう。