負けない国税

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納税者の救済制度
悲しいかな国税当局が課税処分を行うと、それがグレーな案件であっても覆すことは難しいのです。理由は膨大な工数とコストとと、税務当局に抵抗しても意味がないという勝負する前から負けているから。
とは言え、納税者の救済制度は存在し、「再調査の請求」「審査請求」という行政上の救済制度があります。また、裁判所に対し「訴訟」を起こすことも可能です。
令和5年度 訴訟の概要
令和5年度の訴訟の発生件数は189件と前年度より16件増加、率にして9.2%の増加です。

ここ数年件数が減少傾向にあるのはコロナの影響か?平成26年度は237件ありました。
令和5年度の訴訟の終結件数は172件、うち国税に一部はいそ8件、全部敗訴が5件と実に7.6%が敗訴しているのです。この数字が大きいのか少ないのか。。。私個人的な意見としては大きいと思っています。
敗訴した事案の詳細を分かりませんが気になるところです。事実認定なのか、法解釈なのか?まさかとは思うが手続き違反とか?
負けない国税
国税局勤務時代に縁あって調査部審理課に3年間仕事をしていました。資本金が1億円以上など比較的規模の大きい企業の審理事務や調査審理事務に従事していました。
仕事の大半は調査担当者が行った税務調査の結果が、法人税法その他税法に則った正しい課税かを判断する仕事です。時に調査担当者が何カ月も苦労してまとめた案件をぶった切りこともありました。
根底にあるのは「訴訟で負けない課税処理」です。
国という、国税という強力な権限を有した行政機関が行う処分です。当然のことですが各種法令に則った処理を行う必要があります。ですが、そこをはき違えて無理な課税をしようと、納税者が納得しているから、税理士が納得しているからと言って課税しようとすることがありました。
それを止めるというか、正しい処理にするのが調査審理課の仕事でした。
敵は多かったですが、やりがいのある仕事でしたし、今税理士として仕事ができているのはこの3年間があったからだと今でも思っています。
実は勝負する案件もある?
税法は常に社会経済の後追いだと思っています。経済がグローバル化するなかで様々商取引が発生し、その取引に税法が追いついていないということは多々あります。明確な脱税ではないにしろ、税法の隙間をツク節税スキームは良くある話。敢えて訴訟で負けることを覚悟した課税もあると思っています。
いやーその課税は無理でしょ!という事案も少なからずあり、敗訴の後に税法がカバーする、つまり税法改正を促すようなこともあるということです(個人的見解)。
今の税務職員が負けない課税をしているか疑問がありますが、私の担当する調査案件ではなーなーの課税処理は許しません。
【編集後記】
部活動の地域移行は上手くいくのだろうか?来月に安曇野市の担当者、学校長、顧問の教員、そして私で会議の場が設けられました。
教員の負担軽減と自主独立など地域移行には様々な課題だあるので忌憚のない意見交換ができればと思っています。