競馬ドラマだと思って見始めたら、事業承継の物語だった ~税理士の視点で見た「ザ・ロイヤルファミリー」~
週末、何気なくドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」を視聴しました。競馬にはそれほど詳しくありませんし、「競走馬を育てる牧場の話かな」くらいの軽い気持ちで見始めたのですが、見終わった後に強く感じたのは、「これは事業承継のドラマだ」ということでした。
税理士という仕事柄、どうしても経営や承継の視点で物事を見てしまいます。そんな私の目に映った、このドラマの魅力について書いてみたいと思います。
目次
事業は数字だけでは続かない
税理士の仕事では、日々さまざまな経営者の方とお会いします。
利益率を改善する。
資金繰りを安定させる。
設備投資を検討する。
もちろんどれも重要です。しかし、数字だけでは説明できない経営判断も数多くあります。
ドラマの中で描かれる牧場経営は、決して楽なものではありません。競走馬の生産には多額の費用がかかりますが、必ず結果が出るわけではありません。むしろ成功する方が少数派でしょう。
それでも牧場を続ける理由は何か。
そこには「馬が好きだから」「先代から受け継いだ牧場だから」「地域に必要な仕事だから」という想いがあります。
税理士として決算書を見ると数字が並びます。しかし、その数字の裏には必ず経営者の想いがあります。事業を長く続けている会社ほど、その想いが強いように感じます。
事業承継とは資産を渡すことではない
ドラマを見ながら強く感じたのが、事業承継の本質です。
事業承継というと、
・株式の移転
・相続対策
・納税資金対策
といった制度面に注目されがちです。
もちろん税理士としては重要な論点です。しかし、本当に難しいのはその先です。
経営者が何を大切にしてきたのか。
なぜその事業を続けてきたのか。
どんな価値を地域や顧客に提供したいのか。
こうした「見えない資産」を次世代に引き継ぐことこそが、本当の事業承継なのだと思います。
どれだけ完璧な相続対策を行っても、事業に対する想いが伝わらなければ承継は成功しません。
牧場経営を描いたドラマでありながら、多くの中小企業にも共通するテーマが描かれていたように感じました。
地方の小さな事業には大きな価値がある
もう一つ印象的だったのは、地方で事業を続けることの意味です。
私は長野県で仕事をしていますが、地方には家族経営や小規模事業者が数多く存在します。
売上だけを見れば大企業にはかないません。
従業員数も多くありません。
しかし、その地域になくてはならない存在であることも少なくありません。
ドラマの牧場も同じです。
一つの牧場があることで雇用が生まれ、取引先が支えられ、地域の文化が守られていきます。
税理士として関与する中で感じるのは、「会社の規模」と「会社の価値」は必ずしも一致しないということです。
地域に必要とされる事業には、大きな価値があります。
だからこそ、私たち税理士の役割は税金計算だけではなく、経営者が次の世代へバトンを渡す手助けをすることなのだと思います。
競馬ドラマだと思って見始めた「ザ・ロイヤルファミリー」でしたが、私には事業承継や地域経営について考えさせられる作品でした。
同族経営の会社を支援している方や、これから事業承継を迎える経営者の方には、ぜひ一度見ていただきたいドラマです。数字では表せない「事業を続ける意味」が、きっと見えてくると思います。