税理士引継ぎ案件の闇〜令和に手書き!?からの再構築〜

税理士として新たなクライアント様と契約を結ぶたびに、前任の対応状況を確認することがあります。先日ご契約いただいた法人様(3月決算)とのやり取りの中で、改めて「税理士業界の深い闇」を感じる出来事がありました。
目次
総勘定元帳が手書き!? 令和の世に昭和の帳簿
新規契約のクライアント様には、スムーズな移行と効率的な記帳のために書類の整備をお願いし、ヒアリングを通じて現状把握を行います。ところが、今回の案件では前任の税理士の帳簿がすべて手書き。しかも達筆すぎて読解不能な文字、相手勘定科目も不記載。総勘定元帳の体をなしていませんでした。
申告書類においても、市や国税は電子申告をしている様子でしたが、県税だけは手書き。控えもただの紙をクリアファイルに入れて返却されるだけ。驚くべきことに、これで高額な報酬を受領していたとのことで、業界内の情報格差とクオリティの差に唖然としました。
freee会計でのデジタル移行、まずは自動連携から
しかし、こうしたアナログな状態からのスタートこそが、税理士としての腕の見せ所。今回はfreee会計を導入し、業務の効率化を本格的にスタート。メインバンクの口座連携、クレジットカードの自動連携、資料は複合機からファイルボックスに格納と、少しずつではありますが、着実に環境整備を進めています。
アナログからデジタルへの移行は、クライアント側の理解と協力が不可欠ですが、経営者様も変革に前向き。記帳処理の自動化によって、経理にかかる負荷を軽減することが目下の目標です。
売上管理の壁と、紙文化の根深さ
一方で、解決すべき課題も残っています。売上管理はカシオの「楽一」で行われており、そのデータをfreeeに取り込む作業が難航。さらに一部の得意先からは「4枚複写の専用請求書」での発行が求められており、プリンタ設定もカシオの専用機。しかもこの機器は2028年までリース契約中。
こうした紙文化と独自仕様が足かせになる中、当面は現状の運用を継続しつつ、段階的なデジタル移行を進めていく予定です。freeeで請求書発行まで完結させる未来に向け、少しずつ前進しています。
手書き帳簿や紙申告など、令和の時代にはそぐわない運用に驚かされつつも、これを刷新していくプロセスにこそ意義があります。クライアントの業務負担を減らし、経営に集中できる環境を整えるため、今後も柔軟かつ丁寧に支援していこうと誓った今日この頃です。
【編集後記】
今月は支払い多いよう~車検代に軽トラの修理代。給与に賞与に家賃。住民税に労働保険。。。事務所経営して人を雇うって大変なことなんだなーと改めて思う今日この頃。