税理士が自分の試算表を眺めてみたら、思ったより健全だった話
目次
数字で見る事務所のリアル
令和7年もあと2か月、ここまでの試算表をまとめてみました。
営業利益率にするとなんと47%。自分で言うのもなんですが、なかなか良い数字です。
業界的に見ても、税理士事務所の平均的な利益率は20〜30%といわれています。そう考えると、うちの事務所はかなり効率的に回っているようです。
もちろん、これは「自分の給料」を経費に入れていないから高く見えるという部分もありますが、それを加味しても収益構造は安定しています。
経費の中身を見ていくと、家賃が売上の4.6%、広告宣伝費は1.5%。固定費はしっかり抑えられていて、外注費も少なめ。
数字で見ると「無駄の少ない事務所」だということがよくわかります。
労働分配率は約67%、ちょうどいいバランス
次に、人件費のバランスを見てみました。
スタッフの給与・賞与・社会保険料、それに加えて自分の取り分(擬似的な役員報酬)を合わせて、これを付加価値(売上−外注費)で割ると、労働分配率は約67%でした。
この数字、士業としてはかなり理想的なラインです。
「事業の成果を人としっかり還元できている」状態と言えます。
スタッフにも無理なく給与を支払い、自分の生活も守りながら、事務所として利益を出せている。数字で見ると、そんな良い循環ができているのがわかります。
以前は「人件費を増やすと利益が減る」と思っていた時期もありましたが、今は逆。人に還元できるからこそ、サービスの質が上がり、結果として売上が安定するという実感があります。
これからの課題は“再投資”
ここまでの数字だけを見ると、健全な経営を維持できているように見えます。
ただ、冷静に眺めてみると、まだ「攻めの投資」が足りない部分もあるなと感じます。
また、今後スタッフを増やすとすれば、労働分配率を70%以内に維持できるように、採用と報酬設計を考えていく必要もあります。
利益を出すことも大切ですが、それ以上に「利益をどう使うか」が事業を伸ばすポイントです。
新しいシステムの導入や、勉強会・セミナーへの参加も、長期的に見れば立派な投資。
数字を見ながら、次にお金をどこへ回すかを考えることが、経営の面白さだと感じています。
決算や確定申告の季節になると、お客様の数字を分析することが多いですが、こうして自分の事務所の試算表を眺めるのも大事な時間ですね。
数字は正直で、良くも悪くも経営者の考え方が反映されます。
この10ヶ月、堅実に積み上げてきた成果を確認しつつ、次のステージに向けて少しずつ舵を切っていこうと思います。
【編集後記】
あっという間に10月が終わります。そして私の苦手な寒い季節がきました。これから4月初旬まで寒さとの闘いです。