税務調査に「情報技術専門官」が来たら?役割と当日の実態について
近年、企業のペーパーレス化やITツールの普及、電子帳簿保存法の定着に伴い、税務調査の現場でも「情報技術専門官(情技官)」が同行するケースが見られるようになりました。
「専門官が来ると、パソコンのデータを隅々まで調べられるのでは?」と不安に思う方も少なくありません。今回は、情報技術専門官の基本的な役割と、実際の調査現場で見られる実態について分かりやすく解説します。
目次
情報技術専門官の役割と本来の目的
情報技術専門官とは、ITシステムや電子データ、インターネット取引に関する専門的な研修を受けた税務職員です。
主な役割は、会計ソフトや基幹システムからのデータ抽出、電子データの更新履歴(タイムスタンプ)の確認、EC取引やオンライン決済などの複雑なデジタル取引の流れを把握することです。通常の調査官だけでは対応が難しいデジタル関連の確認をスムーズに進め、調査を専門的な見地からサポートするために配置されています。
現場で「PCを全く見ない」こともある理由
専門官が同行したからといって、必ずしもパソコンを直接操作したり、膨大なログデータを解析したりするわけではありません。実際には、現場でPCデータを一切確認せずに終わるケースも多々あります。
これは、事前の机上分析や当日に提示された紙の帳簿・請求書等の書類だけで取引の実態が十分に確認でき、デジタルデータの深掘りが必要ないと判断されたためです。また、IT環境を備えている企業への調査において「念のため」同行しているケースもあり、現場で不審な点や説明の矛盾がなければ、出番がないまま終了することも珍しくありません。
専門官が同行した際の心構えと対応ポイント
情報技術専門官が来訪しても、過度に身構える必要はありません。基本的な対応姿勢は一般的な税務調査と同じです。
- 落ち着いて通常の資料を提示する:まずは求められた帳簿書類や証憑を正確に提示し、取引の流れを丁寧に説明することが大切です。
- データの提示方法を確認する:データ確認を求められた場合でも、調査官にパソコンを直接操作させるのではなく、指定された画面の提示やデータ出力(CSV等)で対応するのが実務上の基本です。
事前の準備と正確な帳簿管理が整っていれば、専門官の有無に関わらず落ち着いて対応できます。普段からの適切な経理処理と証憑保存を心がけておきましょう。