半期の財務数字が出揃ったら確認したい3つのポイント〜試算表を経営に活かす方法〜

試算表は「現在地確認」のナビゲーター

早いもので、2026年も折り返し地点が近づいてきました。6月に入り、1月〜5月分の試算表が出揃った事業者の方も多いのではないでしょうか。私たちが日々の記帳業務でお伝えしていることのひとつが、「試算表は見るものではなく、使うもの」ということです。

試算表(損益計算書・貸借対照表)は、自社の経営状態をリアルタイムで映し出す「財務の鏡」です。しかし、多くの経営者の方が試算表を受け取っても、数字を眺めるだけで終わってしまっている、というのが現実ではないでしょうか。

ポイントは「前年同期比」「経費構成比」「資金繰りの連動」の3点です。この3つを押さえるだけで、試算表の見え方が大きく変わります。

たとえば売上が前年比50%という数字を見て「落ちた」と判断するのは早計です。月次ベースで見ると成長している場合もありますし、季節性のある業種では比較対象の設定が重要です。また、税理士事務所のように確定申告シーズン(1〜3月)に売上が集中する業種では、5月までの数字だけで年間を判断することは難しく、顧問先の特性に合わせた分析が求められます。

経費の「固定費・変動費」を分けて見る習慣を

試算表の経費欄を眺めていると、金額の大きな項目ばかりに目が向きがちですが、税理士の視点で重要なのは「固定費」と「変動費」を分けて把握することです。

固定費とは、売上の増減に関わらず毎月ほぼ一定額が発生するコストです。給与・家賃・減価償却費・保険料・会計ソフト利用料などがこれに当たります。変動費は、売上や業務量に応じて増減するコスト——外注費・旅費交通費・消耗品費などです。

例えば「減価償却費が前年比170%増」という状況は、事業拡大(車両・設備の取得など)に伴う非現金コストの増加であり、資金繰りへの直接的影響は限定的です。一方、帳簿上の利益は圧縮されるため、税務申告や金融機関対応ではこの点をきちんと説明できるようにしておくことが重要です。

今期のような「減価償却費が前年比169%増」という状況は、事業拡大(車両・設備の取得など)に伴う非現金コストの増加であり、資金繰りへの直接的影響は限定的です。一方、帳簿上の利益は圧縮されるため、税務申告や金融機関対応ではこの点をきちんと説明できるようにしておくことが重要です。

固定費を月次でしっかり把握していると、「損益分岐点売上高」(固定費を賄うために必要な最低売上)が計算できます。この数字を知っているだけで、月初の経営判断の質が大きく変わります。「今月は分岐点を超えたか?」という問いを持つことが、経営者として数字と向き合う第一歩です。税理士事務所では、顧問先の皆様がこの感覚を身につけていただけるよう、試算表のお届けの際に必ず損益分岐点もお伝えするようにしています。

直近3期を並べると「会社の変化」が見える

単年の試算表だけを見ていると、「今が良いのか悪いのか」の判断が難しいことがあります。そこで私どもがお勧めしているのが、「直近3期比較」です。3年分の主要数値を横並びにすることで、自社のトレンド——成長しているのか、停滞しているのか、コスト構造が変化しているのか——が一目で分かります。

たとえば、売上は3期連続で成長しているのに、利益率が年々下がっているとすれば、それはコスト管理に課題があるサインです。逆に、売上が横ばいでも利益率が改善しているなら、経費削減や業務効率化の効果が出ていると解釈できます。

3期比較で特に着目してほしいのが「人件費率」「外注費率」「減価償却費」の推移です。この3項目はビジネスモデルの変化や設備投資の影響が色濃く出る科目であり、経営の方向性を読み解くカギになります。

また、3期比較は金融機関からの融資審査においても重要な資料となります。事業計画書と3期分の財務データを組み合わせることで、「安定した収益基盤がある」「計画的に設備投資をしている」という経営の健全性をアピールすることができます。資金調達を検討されている方は、ぜひ早めに3期分の試算表や決算書を整理しておきましょう。

6月は、上半期の振り返りと下半期の計画を立てる絶好のタイミングです。試算表を手元に置きながら、①現在の売上ペース、②固定費の水準、③3期のトレンド——この3点を確認してみてください。数字の背景が見えてくると、次の一手が自然と浮かび上がってきます。何かご不明な点や、試算表の読み方についてのご相談は、いつでも船着税理士事務所までお気軽にどうぞ。

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