交際費か寄附金か?

交際費か寄附金か?

2021年7月27日付での関西電力の記事から解説したいと思います。

事実関係から

関西電力は、業績が悪化した時期に減らした役員報酬の一部をひそかに補填していた問題などで、27日、大阪国税局から2億円余りの申告漏れを指摘されたことを明らかにしました。
関西電力は、業績が悪化していた時期に役員報酬の一部をカットしましたが、その後、退任した役員18人に対して総額2億6000万円をひそかに補填していました。
この問題について、関西電力は27日に大阪国税局から申告漏れを指摘されたことを明らかにしました。
会社によりますと、補填した金額のうち1億9800万円について、費用としては認められないとして重加算税を含めて3100万円を追加で納付するよう求められたということです。
国税局は、一部を所得隠しに当たると認定しました。
また、経営幹部らが福井県高浜町の元助役から金品を受領していた問題で、この元助役を子会社の「関電プラント」は顧問として雇い、2018年度までの4年間に報酬900万円を支払っていました。この報酬についても、国税局から「実態としては交際費にあたる」と指摘があったということです。

私が気になったのは関電プラントの4年間の顧問報酬が交際費にあたるという点です。

交際費と寄附金の違いは?

交際費とは「交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」とされています。

また寄附金と交際費等の区分として「事業に直接関係のない者に対して金銭、物品等の贈与をした場合において、それが寄附金であるか交際費等であるかは個々の実態により判定すべきであるが、金銭でした贈与は原則として寄附金とするものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。」とあります。

国税当局はどのように判断したのか?

ここからは完全に私の推測です。

  1. 4年間、顧問報酬を支払っいた事実があること。
  2. 顧問としての業務の実態がないこと
  3. 高浜町の元助役が事業に関連がある者であること
  4. 元助役との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図こと
  5. 元助役に対して接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為の事実があったこと

少なくともこの5つのハードルをクリアしないと交際費として認定できないはずです。

1,2は事実認定できるものと思われます。

では、3の事業に関連のある者とは何か?通達では「直接当該法人の営む事業に取引関係のある者だけでなく間接に当該法人の利害に関係ある者及び当該法人の役員、従業員、株主等も含む」とされています。

4,5は事実関係が不明なのでわかりませんが、このハードルをクリアしたのです。

国税当局は交際費にこだわる理由

交際費に該当するのか、寄附金に該当するのか?実は多くの事例で国税当局は交際費にもっていきます(大法人に限る)。

何故か?

交際費と寄附金で税法の取扱い(損金算入限度額の計算方法)が異なるからです。

細かい説明をうーんと省略すると、交際費も寄附金も法人の経費で間違いないのですが、税法上では一定の制限を設けているのです。

一定の計算方法で制限を設けているのですが、交際費として認定できれば制限を超えて課税になるのですが、寄附金としての認定なら制限内に入ってしまい課税できないということが起こります。

故に調査担当者は何としても交際費として課税にしたいのです。

まとめ

交際費の三要件説と呼ばれ交際費等の該当性が争われるケースがあります。判例もたくさんあります。

交際費認定は、一般的に考えられているよりも実は奥が深い、そんな感じです。

想像するに関西電力側もだいむ負い目があるので争う事はないと思うのですが、ただ今回の報道を見ると違和感が残ります。

【編集後記】

久しぶりに税理士らしいブログ書いてみました。

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