久しぶりに税務調査の立ち合いに行ってきた
先月の中旬、一本の電話がありました。個人事業主の方から「税務署から税務調査の連絡があったので助けてほしい」とのご相談です。
直接お会いして、事業内容や記帳状況、これまでの申告内容などを確認したところ、残念ながら申告内容に誤りが認められました。
そこで、税務調査を待つのではなく、早急に修正申告書を提出しました。
そして昨日、いよいよ税務調査当日を迎えました。
目次
税務調査の前に修正申告をするということ
今回、税務調査の連絡を受けた後、調査前に修正申告書を提出しました。
元税務職員として考えると、「果たして調査担当者がどのような数字を見てくるのか」という不安は当然あります。調査によって新たな誤りが見つかれば、当初提出した修正申告とは別の問題も出てくる可能性があります。
一方で、納税者の立場からすれば、誤りを認識したにもかかわらず、そのまま調査を待つという選択が必ずしも適切とは限りません。
自主的に誤りを是正し、適正な申告・納税を行うことは、納税者として非常に重要なことです。
もちろん、修正申告をしたからといって、税務調査そのものがなくなるわけではありません。
それでも、納税者の状況を確認したうえで、可能な限り早く是正する。今回については、それが税理士として最善の対応だったと思っています。
「できる調査担当者」の税務調査
今回の調査担当者は、税理士になってから初めて「これはちゃんとした税務調査だな」と感じた方でした。
税務調査が苦手だった私が言うのも何ですが、「この人は伸びるな~」と思わせる調査担当者でした。
何が違うのか。
一番大きいのは、コミュニケーション能力です。
実際の調査に入る前の概況聴取が非常に的確でした。納税者の事業内容だけではなく、これまでの経歴、家族構成、趣味など、一見すると税務調査とは関係なさそうなことまで確認していました。
「そんなことを聞いて何になるの?」
納税者からすると、そう思う質問もあるかもしれません。
しかし、実はこうした何気ない会話の中に、申告内容との矛盾や、申告されていない取引などを把握する端緒が隠れていることがあります。
税務調査は、単純に帳簿と領収書を確認するだけではありません。
納税者の生活や事業を理解し、その中から申告内容との整合性を確認していく。
今回の調査担当者は、その基本をしっかり実践しているように感じました。
できる税務調査は、やっぱり疲れる
税務調査が終了し、事務所に戻ってきたのですが、ものすごい疲労感でした。
修正事項そのものは、それほど多くないと思います。
それでも疲れる。
なぜかというと、調査担当者の質問一つひとつに意味があるからです。
「この質問は何を確認したいのか」
「次にどこを聞いてくるのか」
「この回答から何を読み取ろうとしているのか」
こちらも自然と考えながら対応することになります。
税務調査というのは、単に間違いを探す作業ではありません。納税者の説明、帳簿、資料、申告内容などを突き合わせながら、事実関係を確認していく仕事です。
だからこそ、調査能力の高い担当者との税務調査は緊張感があります。
今回は、久しぶりに「税務調査ってこういうものだったな」と思い出させてもらいました。
税務職員時代には、調査する側として当たり前にやっていたこと。
それを今度は税理士として、納税者側から見る。
立場が変わると、同じ税務調査でも見える景色が全く違います。
そして何より、調査終了後に「疲れた~」と思いながらも、どこか清々しい気持ちになったのは、きちんとした税務調査に立ち会えたからなのかもしれません。