中古車を買うと「2年でドカッと経費」──減価償却が利益に効くタイミングの話
事業で車を買うとき、意外と見落とされがちなのが「いつ、いくら経費になるのか」という視点です。とくに中古車は、新車とはまったく違うスピードで経費になり、それが利益や税金の出方を大きく左右します。今回は、中古車の「2年償却」という仕組みと、それが数年先の利益にどう効いてくるかを、なるべくやさしく整理してみます。
目次
なぜ中古車は「2年償却」になるのか
車の減価償却は、取得価額を「耐用年数」で少しずつ費用にしていく仕組みです。普通自動車の法定耐用年数は6年ですが、中古車の場合はすでに使われてきた年数を差し引いて、より短い年数で償却できます。そして、法定耐用年数をすべて過ぎた中古車は、最短で「2年」まで縮まります。
2年の定額法であれば、取得価額を24か月で均等に費用化していくイメージです。たとえば200万円の中古車なら、年間およそ100万円、月にすると約8.3万円が減価償却費として計上されていきます。新車を6年かけてゆっくり経費化するのに比べ、中古車は短期間に一気に経費になる。ここが最大の特徴です。
「償却中」と「償却後」で利益はこう変わる
2年償却の車を持っている間は、毎年100万円前後の減価償却費が経費として乗ります。その分、利益は圧縮されます。これは税負担を抑える効果がある一方で、「思ったより利益が出ていないように見える」原因にもなります。
ところが、償却が終わった翌年からは、この経費がまるごと消えます。売上も他の経費もまったく同じでも、減価償却費がなくなった分だけ、利益がポンと跳ね上がるのです。先ほどの例なら、償却完了後の利益は前年よりおよそ100万円上振れする計算になります。イメージとしては、償却している2年間は利益が「谷」になり、完了した翌年に「山」が来る、という形です。
つまり、車を買った直後の利益と、その2〜3年後の利益は、事業の実力が同じでも見え方が変わります。この波をあらかじめ知っておくと、資金計画や設備投資の判断がぐっとしやすくなります。
利益が増えた「後」にこそ気をつけたいこと
ここで大事なのは、「会計上の利益が増える=手元の現金が増える」ではない、という点です。車の代金は購入時にすでに支払っています(ローンの場合は返済が別に続きます)。償却が終わって利益が跳ね上がっても、それは帳簿の上での話で、新たに現金が入ってくるわけではありません。
むしろ注意したいのは税金です。償却完了後は利益=課税所得が増えるため、所得税・住民税・国民健康保険料などの負担が上がります。「利益が増えて喜んでいたら、翌年の納税や社会保険料でお金が出ていった」というのは、実際によくある話です。利益が跳ねる年を見越して、納税資金を先に準備しておくことが欠かせません。
また、利益が大きく出る年に合わせて、次の車の買い替えや設備投資を検討する、という戦略もあります。いずれにしても、「いつ償却が終わり、いつ利益と税負担が増えるのか」を数字で把握しておくことが、後悔しない設備投資の第一歩です。