【令和8年度】安曇野のコシヒカリ収穫完了と税理士農家が憂う「コメの適正価格」

令和8年度産コシヒカリ、無事に収穫完了

北アルプスの山々が秋の装いを深める中、ここ安曇野でも令和8年度産コシヒカリの稲刈りがようやく完了しました。

平日は税理士として顧問先の決算や税務相談に追われ、週末は作業着に着替えてコンバインのハンドルを握る日々。兼業農家としては体力的にタフな時期ですが、清冽な雪解け水で育った黄金色の稲穂を見ると、やはり大きな達成感があります。

今年は夏の猛暑や天候不順など自然の猛威に気をもむ場面も多かったものの、無事に新米を収穫し、秋の恵みを実感できることにまずは深く安堵しています。

乱高下するJA長野の概算金:令和7年と令和8年の比較

しかし、収穫の喜びも束の間、昨年から続く「コメ価格の騒動」には強い危機感を抱いています。先日発表されたJA全農長野の令和8年産コシヒカリ(1等・60キロ)の概算金は「1万6,730円」でした。

極端な品薄で米価が高騰した昨年(令和7年)の概算金は過去最高の「2万8,240円」に達していました 。それが今年は一転し、前年比で1万1,510円(約41%)もの大幅な減額となっています 。

税理士として数多くの企業の財務を見てきましたが、外的要因によって1年で売上単価が4割も吹き飛ぶ業界などそう多くありません。異常な価格の乱高下と言わざるを得ません。

赤字前提の市場?生産コストから考える「コメの適正価格」

この激しい価格変動の中で最も深刻なのが、「適正価格」から大きく乖離しているという点です。

農業資材、肥料、燃料費などが高止まりする中、国が認定する業界団体が示した60キロ当たりの生産コスト指標は「2万535円」とされています 。

今年の概算金1万6,730円では、採算ラインを大きく割り込んでしまっているのが現実です。

トラクターなどの農機は数百万円単位の投資が必要ですが、この販売単価では到底減価償却などできません。消費者の皆様にとって店頭での値下がりは歓迎すべきことかもしれませんが [cite: 1.1.3]、生産者が身銭を切って赤字を埋める構造は持続不可能です。食料安全保障の観点からも、農家が安心して再生産できる「コメの適正価格」について、今こそ社会全体で真剣に見直すべき時が来ていると憂慮しています。

一人の税理士として、そして泥にまみれる一人の農家として、今後の農業のあり方を問い直していきたいと感じる令和8年の秋です。

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