「減税して給付金」の不条理。飲食料品消費税1%化で露呈する税制の歪み

政府が2027年4月から実施を目指す「飲食料品の消費税率1%引き下げ」。家計負担の軽減を掲げる一方で、早くも制度的なほころびと迷走が目立ち始めています。

その最たる例が、減税によって減収となる中小零細農家に対して「給付金を支給して穴埋めする」という支援策の調整です。

減税による痛みを税金(給付金)で穴埋めする」という本末転倒な構図を見ていると、そもそも制度をいじること自体が間違いなのではないかと思わざるを得ません。今回の消費税1%化を巡って「こんなことしなければいいのに」と強く感じる3つの理由をまとめました。

「減税の歪みを給付金で補填する」という本末転倒なバラマキ

消費税法の原則に立てば、売上税率(1%)より仕入税率(10%)が高くなって逆ざやが生じる場合、事業者は「本則課税」を選択して確定申告を行えば差額の還付を受けられます。

免税事業者や簡易課税制度は、本来「計算の事務負担を省くための特例措置」です。それを選んでいる事業者の手取りが減るからといって、個別に給付金を配って穴埋めを始めるのは筋が通りません。

「税率を下げて税収を減らし、それによって生じた損害を補填するために給付金という歳出を増やす」——このやり方を許せば、外食産業や食品加工業など他の影響を受ける業界からも際限なく補填要求が噴き出すことになり、財政規律は完全に崩壊します。

小規模事業者と現場を振り回す過剰な事務コスト

今回の引き下げは、飲食料品が1%、外食や資材・肥料は10%、新聞などは8%という、世界的に見ても極めて複雑な「複数税率のスパゲッティ状態」を生み出します。

インボイス制度が導入されて間もない現場において、事業者は再びレジシステムの改修、帳簿の税率区分、請求書の修正といった莫大なコストと手間に追われます。

高齢化が進む家族経営農家が還付を受けるために本則課税へ移行しようとすれば、膨大な領収書管理や税理士報酬が発生し、「戻ってくる還付金よりも事務コストや手数料の方が高くつく」という本末転倒な事態に陥ります。

国民の生活を楽にするための減税が、現場に過重な事務負担という名の「見えない増税」を強いています。

2年間の時限措置がもたらす大混乱と終わりの見えない後始末

今回の1%引き下げは2年間の時限措置とされていますが、たった2年間のために国会で法改正を行い、システムを改修し、給付金の申請・審査窓口を設置し、莫大な行政コストを投じるのはあまりに非効率です。

さらに、2年後に元の税率へ戻す際にも再び価格表示の変更やシステム改修が発生し、現場は大混乱に陥ります。「一度始めた給付金や特例は、既得権益化してやめられなくなる」という過去の政策の失敗を再び繰り返すリスクも極めて高いと言わざるを得ません。

政治主導で打ち出された「消費税1%」という見栄えの良いスローガンの裏で、税制の論理性は破壊され、現場には過剰な負担が押し付けられ、穴埋めのための税金が垂れ流されようとしています。

制度を複雑にして後から絆創膏を貼り続けるくらいなら、最初から「こんなことしなければいいのに」と思わざるを得ません。

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