「タンス預金」は必ず税務署にばれるのか?

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「タンス預金」は必ず税務署にばれるのか?
最初に書いておきたいことは、本記事はタンス預金を進めるとか、もとより相続税をごまかすための記事ではありません。今日は税務署OBがとある記事の感想を書いているブログです。
ネットの記事で「「タンス預金」や「こっそり贈与」が、必ず税務署にバレる驚きの理由」というのを目にしました。要約すると
①KSKシステム(国税総合管理システム)を駆使して、国民の稼ぎや財産を把握
②故に相続税調査の9割で申告漏れを把握
というものです。
①も②も事実ですが、だからといって「タンス預金」や「こっそり贈与」が、必ず税務署にバレる驚きの理由」にはなりません。
重ねて書きますが相続税の脱税をしろというものではありません。
KSKシステム(国税総合管理システム)を駆使して、国民の稼ぎや財産を把握
記事にあるとおり、国税当局はKSKシステムを活用し多くの情報を収集蓄積していますが、国民すべての収入や財産を把握している訳ではありません。ましてAさんのタンス預金がいくらあるのかなんて収集しようがありません。
源泉徴収票が税務署にはあるじゃないか、確定申告書が提出されるじゃあいかと言われますが、じゃ~私の机の引き出しにいくら現金が入っているのかなんて知る方法はありません。
相続税調査の9割で申告漏れを把握
令和4年度は、調査件数8196件のうち、9割弱の7036件で申告漏れ等が発見されています。国税庁が公表している数字なので間違いありません。
令和4年の被相続人の数(死亡者数)は1,569,050人、相続税の申告件数は150,858件です。相続税の調査件数なんて申告件数の5.4%でしかありません。150,858件のうち8,196件しか調査しないのだから、当然、KSK等活用して真に税務調査が必要な者に対して行うのだから申告漏れが9割あって当然、なんなら10割にならないと、と思うくらいです。
記事の決定的な根拠不足
国税庁が公表した資料には、相続税の申告漏れの要因については記載がありません。つまり「タンス預金」や「こっそり贈与」がばれたという根拠はどこにもないのです。
エビデンスがない
そう、この記事にはエビデンスがないのです。大事な事は何度でも書きます。だからといって相続税の申告書を提出する際に「タンス預金」や「こっそり贈与」を除外していいと言っているのではありません。税金をごまかすとペナルティは痛いです。
本ブログと記事の本質は変わりません。正しい申告をしましょう。ということです。
【編集後記】
寒い冬は好きですか?
