着服額5億7800万円!!2つの税務的処理のPOINT

朝日新聞の記事によれば・・・

経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)は21日、元社員が約4年間にわたって不正経理を繰り返し、総額で5億7800万円を着服していたと発表した。

JDIによると、元社員は2014年7月から18年10月にかけて、架空の取引会社に業務委託費などの名目で資金を振り込み、会社の資金を着服した。さらに、契約書に添付するなどと偽り、収入印紙を不正に手に入れていた。

被害額は過年度の決算に織り込み済みとしている。

会社の役員や従業員の着服、いわゆる横領です。

さて、この決算に織り込み済みについて解説したいと思います。

基本的な考え方

基本的には本来あるべき仕訳をしていくだけです。そして着服(横領)されて金額を横領損失として損金の額に計上する。

そして大事なところは、会社は着服(横領)した当事者に対し損害賠償請求権という債権を有するということです。

・売上を着服していた場合 
 正しい売上を計上して、着服された金額を横領損失として損金に計上する。

  売掛債権 ××× / 売上   ×××
  横領損失 ××× / 売掛債権 ×××
  損害賠償請求権 ××× / 横領損失

経費を水増ししていた場合
 経費として計上して、着服された金額を横領損失として損金に計上する。

  横領損失 ××× / 経費   ×××
  損害賠償請求権 ××× / 横領損失 ×××

※仕訳の方法は色々ありますが、損害賠償請求権が発生することがポイント

損害賠償請求権の計上時期・・・同時両建・異時両建

問題は損害賠償請求権の計上時期です。

これには「同時両建」「異時両建」という2つのタイミングがあります。

・同時両建・・・会社の損害と損害賠償請求権が同時に発生するという考え方

・異時両建・・・会社が損害の事実を知った時に損害賠償請求権が発生するという考え方

同時両建・異時両建税務的処理の違い

・同時両建・・・会社の損害があった事業年度に損害賠償請求権を計上することにより修正申告書の提出が必要。税務調査で発覚した場合に重加算税が賦課される可能性がある

・異時両建・・・会社が損害の事実を知った事業年度、つまり今期に損害賠償請求権を計上することになる

税務的に考えれば異時両建の方がいいと思われます。会社は横領された事実を知らなかったのだから横領損失と損害賠償請求権を同時になんか計上できる訳がない!!

とこらが、判例、学説、個々の事実関係によってどちらの方法を用いるのか判断が分かれているところです。

しかも税務署は同時両建信者が多いです。理由は秘密。

まとめ

従業員の不正行為はあってはならないものです。

会社の信用問題でもあり、経済的損失も計り知れません。

税理士として、税務的コンサルタントにとどまらず、会社のチェック機能にも関与できたらと思います。

【編集後記】

AFPにチャレンジしてみようかな。

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