かわる相続法 4つのポイント

2018年7月に相続法が大きく改正され、その一部は2019年7月から施行されています。

今回は、この改正の大きな4つのポイントを解説します。

4つの改正点

  1. 配偶者居住権の新設(2020年4月から)
  2. 自筆証書遺言の保管制度の新設(2020年7月から)
  3. 特別の寄与の制度の新設(2019年7月から)
  4. 預貯金の仮払い制度の新設(2019年7月から)

配偶者居住権の新設(2020年4月から)

相続開始時において、亡くなった方の持ち家に同居していた配偶者は、終身にわたってその自宅に無償で住み続けることができるとする権利のことです。

自宅の相続は所有権のみでしたが「配偶者居住権」を新設することにより、所有権は子に譲っても配偶者が生きている間は自宅に住み続けることができるというものです。

今までは、配偶者は自宅に住み続けるために自宅を相続しますが、預貯金等の生活資金となる金銭の相続が減少するという結果になっていました。

つまり高齢化が進む配偶者に優しい改正です。

自筆証書遺言の保管制度の新設(2020年7月から)

相続が争続にならないための改正です。

2020年7月以降、自筆で書いた遺言書を生前に法務局に提出すれば、遺言書が法の定めた様式に適合しているかチェックしてくれ、原本等を保管してくれる制度です。

また、同時に遺言書の財産目録の一部がパソコンで作成した書類やコピーなどの印刷物でもよいことになりました。

この改正により自筆証書遺言の作成が普及し遺産分割がスムーズに行えるようになり「争続」の減少が見込めるということです。

特別の寄与の制度の新設(2019年7月から)

これまでも亡くなった方の介護をしたり家業の手伝いをしてきた相続人には法定相続分にプラスαした財産を「寄与分」として遺贈することができました。

しかし、これは相続人に限った制度なのです。

では、現実を見てみましょう。

現実では、いわゆる「嫁」「婿」が介護をするケースが少なくありません。

この「嫁」「婿」などは法定相続人ではないために、遺言書に遺すなどしないと相続することができませんでした。

「それは不公平である」ということで創設された制度です。

いくつか要件はありますが、相続人に対して亡くなった方に対して貢献したきた分の金銭を請求することができます

預貯金の仮払い制度の新設(2019年7月から)

人に死には意外とお金がかかります。

しかし、亡くなった方の金融機関の口座は凍結され自由に出し入れができなくなるのです。

私も父の終活の際には、凍結される前にお金を引き出せと言われたものです。

金融機関の口座が凍結されると遺産分割協議が終わるまで預金の引き出しができません。

その間は遺族が葬儀代などを支払う必要があります。

誰が葬儀代を負担するのか?そもそも金欠で支払えないなど「争続」の原因にもなりそうな状況でした。

これが今まで(2019年6月)の制度です。

この問題を解決するための制度が「預貯金の仮払い制度」というわけです。

1つの銀行から引き出せるのは最大で150万円まで。上限は預金口座の残高×1/3×法定相続分で計算されます。

預金引き出しには戸籍謄本や身分証明書が必要になります。

まとめ

今回は相続法の改正です。

相続税法にも深く関係する改正ですので解説しました。

税法は知らないと損をしてしまうことが多いです。

かといって、税務署が懇切丁寧に「こうすると安くなりますよ」とは教えてくれません。

税務署はコンサルタントではないからです。知っていても教えてくれません。

【編集後記】

相続は苦手分野ですが、事業承継などを考えると必須です。

クライアント様にご提案できるよう知識を身につけなければと思う今日この頃です。

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